1. 第七十二候 鶏始乳 にわとりはじめてとやにつく

  2. 第七十一候 水沢腹堅 さわみずこおりつめる

  3. 第七十候 款冬華 ふきのはなさく

  4. 第六十九候 雉始雊 きじはじめてなく

  5. 第六十八候 水泉動 しみずあたたかをふくむ

  6. 第六十七候 芹乃栄 せりすなわちさかう

  7. 第六十六候 雪下出麦 ゆきわたりてむぎのびる

  8. 第六十五候 麋角解 さわしかのつのおつる

  9. 第六十四候 乃東生 なつかれくさしょうず

  10. 第六十三候 鱖魚群 さけのうおむらがる

  11. 第六十二候 熊蟄穴 くまあなにこもる

  12. 第六十一候 閉塞成冬 そらさむくふゆとなる

日本でもっとも古くから使われてきた代表的な植物染料。若葉の季節、十字形に出る4枚のハート型の葉を塔のように勢いよく伸ばし、この季節、ひときわ目の覚めるような緑を見せてくれる。

根を煮出すと赤く染まることから、赤根(あかね)。伝統色の茜色である。茜という字は草冠に西で、西には細かく分かれるという意味があり、「細かく分かれた根のある植物」の意。茜の根は細く複雑に長く伸びていて、掘りにくい。

活用されなくなった現在はヤエムグラなどと同様に雑草扱いされることが多いが、かつては布を真っ赤に染められる貴重な植物として珍重されてきた。経年、褪色すると赤が抜けて黄色っぽくなるのが茜染めの特徴で、紅花との違いがわかりやすくなるが、それゆえに本物の茜染めであることも確認できる。

漢方では茜草根(せいそうこん)として古くから使われ、浄血、止血、月経不順などに効果がある薬用植物でもある。「茜掘る」は秋の季語で、根が大きくなった秋に掘り出す。根がとてもとりずらく、染めるのにも手間がかかるので、茜染めは次第に衰退し、紅花染めに移行したといわれている。

茜色の空というと夕焼けを思い浮かべる人が多いが、「茜さす」は、明け方の東の空が赤く染まることから、「日」「光」「朝日」にかかる枕詞。とはいえ、茜色の空は夏も冬も一年中、見られる。少し黄味がかった温かい赤。

茜染めを見につけることはなくなったが、今も私たちは空を染める雄大な茜色を仰ぎ見て、刻々と変わる景色を愛しんでいる。

文責・高月美樹