二十四節気/七十二候とは
太陽の目盛りである二十四節気の基本は、冬至と夏至の二至(にし)、その中間の春分と秋分の二分(にぶん)で、四つに分かれます。その中間点が立春、立夏、立秋、立冬で、各季節の始まりになります。それぞれ三分割すると二十四の節気となり、約十五日ごとの農耕の目安になっています。
七十二候はこの二十四節気をさらに三分割し、約五日毎の特徴的な気象や、こまやかな動植物の変化を示したものです。七十二候の成立は中国の黄河流域の紀元前770年頃にその源流をたどることができます。二十四節気はほぼ変更されることなく、今日まで継承されていますが、七十二候は日本の気候風土に合わせて、何度か変更されてきました。
立春/雨水
二十四節気「立春(りっしゅん)」
春の気たつを以て也(暦便覧)
この日から立夏の前日までが春。立春は寒さの峠越え。一瞬の緩みを感じて、梅がほころびます。「ほころぶ」という言葉は隠れていたものが突然、外に顕れることをさす言葉なので、突然、鳴いた鳥のさえずりも「ほころぶ」といいます。「笑顔」もまさに内側にあるものが、思わず外にこぼれること。梅を見て思わずにっこりしてしまったこと、ありませんか? 花、鳥、それぞれに春の訪れがあります。
日付 |
七十二候 |
コラム |
2月4日〜8日頃 |
第一候 東風解凍 はるかぜこおりをとく |
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2月9日~13日頃 |
第二候 黄鶯睍睆 うぐいすなく |
🗒️ |
2月14日~18日頃 |
第三候 魚氷上 うおこおりをいずる |
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二十四節気「雨水(うすい)」
陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となれば也(暦便覧)
凍て土の表情が変わり、雪解け水も増してきますが、寒の戻りで霜もみられるころ。日が上がると、その霜も解け、凍土は日毎に湿り気を帯び、生気を取り戻していきます。山の養分をたっぷり含んだ雪解け水は「蘇りの水」ともいわれ、種子の発芽を促し、鶏の産卵率を高めるなど、あらゆる動植物を活性化することが実証されています。
日付 |
七十二候 |
コラム |
2月19日〜23日頃 |
第四候 土脈潤起 つちのしょううるおいおこる |
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2月24日~28日頃 |
第五候 霞始靆 かすみはじめてたなびく |
🗒️ |
3月1日~5日頃 |
第六候 草木萌動 そうもくめばえいずる |
🗒️ |

啓蟄/春分
二十四節気「啓蟄(けいちつ)」
陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出れば也(暦便覧)
秋に戸を閉じ、春に戸を開ける。「蟄虫啓戸」そのままの生きものといえば、アリ。「蟻穴を出づ」も春の季語です。私は毎年、最初のアリを見つけると思わず笑みがこぼれ、その生き生きとした動きにしばし見入ります。黄色のミモザの花が咲き、シジュウカラの「ツツピー、ツツピー」という高らかなさえずりが始まります。啓蟄の期間は小さな虫だけでなく、いきもの全体や、そのつながりに目を向けてみてください。
日付 |
七十二候 |
コラム |
3月6日〜10日頃 |
第七候 蟄虫啓戸 すごもりむしとをひらく |
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3月11日~15日頃 |
第八候 桃始笑 ももはじめてさく |
🗒️ |
3月16日~20日頃 |
第九候 菜虫化蝶 なむしちょうとなる |
🗒️ |

二十四節気「春分(しゅんぶん)」
日天の中を行て昼夜等分の時也(暦便覧)
春は寒気と陽気を交互に繰り返し、富士山の裾野のようにいつまでも寒さが長い尾を引きますが、「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、彼岸をすぎると陽気が勝って、春らしさが一気に増してきます。陽気の強い日に桜が一斉に咲き始めますが、そのあとに寒の戻りで冷え込む日もあり、風も吹き、雨も降るので、「花冷え」、「花曇り」、「花吹雪」、「花の雨」などの季語があります。
日付 |
七十二候 |
コラム |
3月21日〜25日頃 |
第十候 雀始巣 すずめはじめてすくう |
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3月26日~30日頃 |
第十一候 桜始開 さくらはじめてひらく |
🗒️ |
3月31日~4月4日頃 |
第十二候 雷乃発声 かみなりすなわちこえをはっす |
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清明/穀雨
二十四節気「清明(せいめい)」
万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれる也(暦便覧)
万物発して、清浄明潔なり。清明は清浄明潔の略。天にも地にも花々が咲き競い、蝶が飛び交う、清らかな季節。桜の花が満開を迎える頃、ツバメの姿を見かけるようになります。マガモやコガモなど、水辺の冬鳥たちは北へ帰ってゆきます。「花を見捨てて帰る雁」。多くの歌人が満開の花を見捨てて、なぜ雁は帰ってしまうのか、と詠んできました。この頃の曇天を「鳥曇り」といいます。
日付 |
七十二候 |
コラム |
4月5日〜9日頃 |
第十三候 玄鳥至 つばめきたる |
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4月10日~14日頃 |
第十四候 鴻雁北 こうがんきたへかえる |
🗒️ |
4月15日~19日頃 |
第十五候 虹始見 にじはじめてあらわる |
🗒️ |

二十四節気「穀雨(こくう)」
春雨降りて百穀を生化すれば也(暦便覧)
穀雨は春の最後の節気。百穀をうるおす雨が降り、種まきや植え付けの季節を迎えます。穀雨の頃に降る長雨は菜種梅雨(なたねづゆ)。いよいよ陽気が増して、百花繚乱の晩春を意味する節気。春の最後を飾るのは百花の王、牡丹。牡丹に続いて咲く芍薬は初夏の花。春闌(はるたけなわ)、春爛漫、春惜しむ。
日付 |
七十二候 |
コラム |
4月20日〜24日頃 |
第十六候 葭始生 あしはじめてしょうず |
🗒️ |
4月25日~29日頃 |
第十七候 霜止出苗 しもやんでなえいづる |
🗒️ |
4月30日~5月4日頃 |
第十八候 牡丹華 ぼたんはなさく |
🗒️ |
