1. 第七十二候 鶏始乳 にわとりはじめてとやにつく

  2. 第七十一候 水沢腹堅 さわみずこおりつめる

  3. 第七十候 款冬華 ふきのはなさく

  4. 第六十九候 雉始雊 きじはじめてなく

  5. 第六十八候 水泉動 しみずあたたかをふくむ

  6. 第六十七候 芹乃栄 せりすなわちさかう

  7. 第六十六候 雪下出麦 ゆきわたりてむぎのびる

  8. 第六十五候 麋角解 さわしかのつのおつる

  9. 第六十四候 乃東生 なつかれくさしょうず

  10. 第六十三候 鱖魚群 さけのうおむらがる

  11. 第六十二候 熊蟄穴 くまあなにこもる

  12. 第六十一候 閉塞成冬 そらさむくふゆとなる

【浅葱色のアサギマダラ】
浅葱色と茶色の美しい斑模様。アサギマダラの名前は、この優美な翅の色に由来します。5月頃から舞い始めるとても美しい蝶です。

幼虫の時の食草は、毒性のアルカロイドを多く含むガガイモ科の植物です。それらを体内に取り込むことで捕食者から身を守り、成蝶になってからもヒヨドリバナやフジバカマなど、ピロリジジンアルカロイドを含む蜜を吸って有毒成分を蓄え、攻撃から身を守っています。ゆったりふわふわと舞うのも、有毒であることを鳥たちにアピールするためと考えられています。

アサギマダラは全国で見ることができますが、沖縄から北海道まで、2000キロ以上の旅をすることでも知られる不思議な蝶です。時には南西諸島や台湾まで渡ることから「渡り蝶」とも呼ばれます。

この小さな命がなぜ長距離を飛ぶのか──その理由はいまだ解き明かされていませんが、旅の途中でフジバカマやヒヨドリバナの花を好んで訪れ、蜜を吸いながら栄養を蓄えます。まるで旅人が宿場町を頼りに進むように、花の道をたどっていきます。

この写真では、初夏のタニウツギの花を訪れていますが、アサギマダラの存続を願う方は、ぜひ秋の七草のひとつ、フジバカマやヒヨドリバナを植えてあげてください。もし近くにアサギマダラがいれば、必ず訪花します。みんなで花の道をつくりましょう。

古代より日本人に親しまれてきた浅葱色は、藍染の初期段階で現れるごく淡い水色です。「浅葱に銀のひとつ紋」は武士の裃(かみしも)につけられた大きな銀の紋で、夏の明るい宵闇にぽーんと上がる月を表すたとえとしても使われます。

浅葱色は着物にも多く用いられますが、俳句の世界ではどこか儚く、少し寂しげな空の色を思わせることから秋の季語となっています。そしてアサギマダラも秋まで舞い続けます。

もしアサギマダラに出会ったら、透けるように淡く美しい浅葱色の翅を、ぜひゆっくりと観察してみてください。