1. 第七十一候 水沢腹堅 さわみずこおりつめる

  2. 第七十候 款冬華 ふきのはなさく

  3. 第六十九候 雉始雊 きじはじめてなく

  4. 第六十八候 水泉動 しみずあたたかをふくむ

  5. 第六十七候 芹乃栄 せりすなわちさかう

  6. 第六十六候 雪下出麦 ゆきわたりてむぎのびる

  7. 第六十五候 麋角解 さわしかのつのおつる

  8. 第六十四候 乃東生 なつかれくさしょうず

  9. 第六十三候 鱖魚群 さけのうおむらがる

  10. 第六十二候 熊蟄穴 くまあなにこもる

  11. 第六十一候 閉塞成冬 そらさむくふゆとなる

  12. 第六十候 橘始黄 たちばなはじめてきばむ

七十二候 植物 自然

第四十八候 水始涸 みずはじめてかるる

水辺の枯れ色


七十二候では秋分の末候「水始涸(みずはじめてかるる)」を迎えました。

稲作が盛んな日本では、水田の水を抜き、稲刈りに備える頃と解釈されていますが、七十二候の原点とされている『礼記月令』や『淮南子』では「陰気益々強くなり水涸る」として、乾いて枯色になった秋の情景そのものをさしています。

写真提供:Namiko Izawa

湿気の多かった夏が終わり、みずみずしく茂っていた草木も潤いを失い、どこかもの侘しく、乾いた雰囲気が漂っています。日本人は四季の中でも晩秋をもっとも尊び、閑寂の中に漂う「もののあはれ」に、奥深い豊かさや美しさを感じてきました。水そのものが涸れてしまうわけではありませんが、水辺にいけば、秋の風情がたっぷりと味わえます。ぜひ水辺の枯れ色をみてみてください。

秋は、生々流転の命の季節。盛んに鳴く虫たちは地中に卵を残して静かにいのちを終えていき、くさぐさもさまざまな形で種を残し、枯れてゆきます。

写真提供:Namiko Izawa

写真提供:Namiko Izawa

水面に浮かぶ浮き草たちも、色づき始めています。

写真提供:Namiko Izawa

「水澄む」という季語もあるように、秋の水には夏のようなにぎわいはありませんが、とても静かで、清冽な印象を与えます。「水の秋」は、この秋の水の美しさを讃える季語です。

写真提供:Namiko Izawa

共に生きる喜びを感じる稲刈り


近年は田植えも、稲刈りも、昔に比べると全国的にかなり早くなっているので、畦の水口を切って田んぼの水を抜く「落水」をおこなうのは8月のところが多く、すでに稲刈りが終わっているところも少なくありませんので、この七十二候はちょっとずれていると感じるかもしれません。

落水させるのは通常、出穂後約30日、稲刈りは40〜 50日後とされていますが、稲が実って美味しくなるのは、この水を切ってからの登熟期間で、秋の残暑が欠かせません。お米は日中の気温が高く、夜は冷えこむ方が美味しくなります。うちの田んぼも無事に実るだろうか、と最後まではらはらしますが、毎年、残暑の強い陽射しのおかげでなんとか実ってくれています。

写真提供:Namiko Izawa

稲刈りはすべて手刈りで行なっているのですが、田んぼで出会うかわいい生きものたちとの出会いも楽しみのひとつです。稲刈りが終わると、カエルたちは穴をほって巣ごもりし、たくさんのヤゴが泥の中に眠り、人のいなくなった田んぼは鳥たちの格好のえさ場にもなります。また来年、と祈りつつ、共に生きる喜びを感じる農作業です。

草紅葉(くさもみじ)も美しく、咲き乱れる花野をより一層、鮮やかに見せてくれます。草の葉は樹木よりも早く色づきますので、ぜひ大地の小さな赤を探してみてください。

地球の呼吸を感じるための手帳
― 時の円環に寄り添い、日々の暮らしを慈しむ ―

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