栗花落
ついり。墜栗花とも書く。つゆ入りの語源は栗の花が落ちる頃と重なることから栗花落(ついり)。のちに梅の実が黄ばむことから梅雨の字をあてるようになった。
栗の花
江戸時代、日本の雨期はただ、五月雨(さみだれ)と呼ばれていた。芭蕉の句「五月雨をあつめて早し最上川」は、雨期に勢いを増した、激流のような川を詠んだもの。梅雨入りの目安になるのは栗の花。栗の花が咲いたら梅雨が近く、花が落ちる頃には、長雨が降る。栗花落(ついり)ともいい、古くはこちらの方が一般的であったようだ。入梅、梅雨入りも、ついりと読む。長い房のような栗の花は鼻をくすぐるような独特の匂いがある。ミツバチにとっても蜜源で、栗の蜜は濃度も甘味もある茶色がかった蜜で栄養価も高い。
堕栗花とも書く。梅雨入りの別名。細長い栗の花の独特の香りに気づいたら、梅雨は近い。花が落ちる頃には、本格的に雨が降り出す。梅雨入りは栗の花、梅雨明けは百日紅(さるすべり)がめやすになる。
栗花落(ついり)は、独特の香りを放つ栗の花が散る頃の雨。栗の花が散る頃の梅雨入りの別名。広範囲に同じ強さでしとしと降り続ける長雨は、梅雨特有の地雨(じあめ)。穀物の成長に欠かせない恵みの雨は瑞雨、特定の畑などに局地的に降るのは外待雨(ほかちあめ)、じめじめとしてものを腐らせる雨は黴雨(ばいう)。青葉にふりかかり、景色を青く染める翠雨(すいう)。青時雨(あおしぐれ)は青葉から滴り落ちる雫。見る者の感じ方によって、さまざまに名前を変える雨。今日の雨はどんな雨であろうか。
水取雨
田植えが終わると雨期を迎える。水取雨(みずとりあめ)ともいい、田んぼに必要な雨となる。つゆの語源は栗の花が落ちる頃と重なる栗花落(ついり)。のちに梅の実が黄ばむことから梅雨の字をあてるようになった。五月晴れは梅雨どきの貴重な晴れ。