アリは世界でもっとも繁栄に成功した虫です。その理由は植物や他の虫との多岐にわたる共生関係にあります。
多くの植物は花だけでなく茎からも蜜を出すことでアリにパトロールしてもらい、産みつけられた卵や毛虫をとってもらっています。そのため蜜腺は食べられやすい若い葉のつけ根に多くあります。カラスノエンドウがわかりやすいので、一度、観察してみてください。
アブラムシはアリに甘い汁を与えることでテントウムシなどの天敵から身を守ってもらっています。アリは植物の茎を自在に歩き回って、植物を天敵から守ったり、アブラムシから蜜をもらいながら、せっせとパトロールしているのです。また幼虫のときにアリが好む匂いを出し、巣の中に運んでもらって、給餌してもらい、成長すると穴から出ていくように進化した賢いシジミチョウもいます。
アリはさまざまな植物の種を運ぶ役割も果たしています。アリ散布植物はカラスノエンドウ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、ムラサキケマン、カタクリ、スミレ、カタバミ、キュウリグサなど。身近にみられる多くの雑草がアリと矯正関係にあります。人間が蜂蜜をもらうためにミツバチの巣箱を置いて、襲われないように世話をしたり、お米をもらうために稲の世話をするのも共生関係のひとつといえます。『和暦日々是好日』2024睦月より